”繁栄のフロンティア部会報告書”

木村、中山、宮城三君の意見、柳川教授の回答を読んで  


杉浦耕一
   2012.10.01

 三人の方々の意見、これに対する柳川教授の回答及び佐藤さんのまとめを読ませていただきました。私もこの報告書に大いに関心があり、私なりの考えの下書きを書きながら雑事に追われ投稿できずに終わってしまいましたが、この機会に改めて書かせていただきます。

 まず、柳川さんのご子息が特異な学生生活を送りながら東大教授の要職に就かれこのような公の場でも活躍されていることに敬意を表します。

 教授の回答で、一律に40歳定年というのではなく、一企業にあっても様々な選択肢があることを了解しました。しかし、40歳と言えば子供の教育費負担、住宅ローン返済継続中という時期、たとえ退職に伴う所得の補償や再教育給付を受けるとしても退職に踏み切れる人は多くないと思います(同一企業に復帰できる場合は別)。現実的な在り方としては、企業に籍を置きつつ1〜2年間仕事を離れて勉強に専念し、企業は基本給程度を支給し、社会保険も継続するというところでしょう。無論、より働き甲斐のある企業に転職しようとする人は定年制に関係なく、自らの意思で”学び直し”に挑戦するでしょう。

 三君の意見に対して、教授が具体的に答えておられないことに不満を感じますが、この部会は具体的方策を示すことまでは目指しておらず、また、部会のまとめ役という公的立場から個人的な意見の表明は避けられたと考えるので、やむを得ないと思います。

 この報告書について、私は委員の選任に不満があります(政府に対して)。意見を一つにまとめるためとはいえ、反対を予想される人を委員に選んでないことです。たとえ両論併記でもよいから労働界、中小企業関係の委員を加えるべきでした。中小企業関係者はこの報告書を読んで、どこの世界の話だろうと思うでしょう。無論中小企業の労働者、経営者も“学び直し“の必要は十分わかっているはずです。退職金すら満足に払えない中小企業に1〜2年の所得補償など到底無理です。

   もう一つ私が知りたいことは、2050年目標通り繁栄が達成された時、所得配分はどうなっているだろうかということです。この問題はこの部会の範囲外であり、政府としても余りにも政治的過ぎて“所得配分のフロンティア部会”を設けることはできないでしょう。繁栄のためには一時的な所得格差の拡大はやむを得ないというよりは不可欠と思います。しかし、適当な再配分がなければ成長は長続きしないと思います。
 所得格差というと、金持ちと貧乏人という両極端を考えがちですが、労働者であっても大企業と中小企業では所得格差は今後ますます拡大すると思います。現在でも旅行に趣味にと有給休暇を十分謳歌している大企業労働者と有給休暇を家事にしか使用していない中小企業労働者とでは、単に給料、賞与の差だけでなく福利厚生施設、教育を受ける機会等の差も大きいのです。繁栄の主役は大企業かもしれませんが、その大企業は下請企業等中小企業の存在なくしては成り立たないのです。規制改革、自由競争が弱者保護を後退させない様望みます。

 ともあれ、この報告者は今後の日本の在り方を考えるうえで、極めて示唆に富んだ価値ある報告書だと考えます。

 私事で恐縮ですが、私は現在も中小企業というよりは零細企業に顧問として週2日勤務しています。無論、給料は官僚の天下りと違いほんの小遣い程度ですが、総務、経理の実務を担当しています。頭脳、肉体の劣化を理由に何度も社長には退職を申し出ていますが、社長とは前の勤務先の同僚という気心知れた間柄なので,慰留に甘えて14年も勤めてきました。これが老化防止にも多少貢献しており、この点では幸せな身分だと思っています。75歳まで働ける社会は素晴らしいですが、病に苦しむ高齢者の存在を忘れてはいけないと思います。

                               以上

   ※[編集者注] 本投稿は当初、9月25日に私の方に
       送信されましたが、編集者の手違いで、本日
       の掲載になってしまったこと、お詫びします。
   

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