2−4  40歳定年制検討の歴史的視点
 
宮城晴明


 柳川範之先生を中核とするグル−プから「40歳定年制」 への移行という重大な提案が行われました。

 私は学生運動に没頭し、半生を労働運動に捧げてきました。 資本と労働の論理が激しくぶつかり合う真っ只中に身を置い てきました。残念ながら歴史的にみて、日本では社会主義を 担うべき労働者階級の組織がつくられることはありませんで した。産別、総評、連合の歴史は企業別労働組合のまま現在 に至っています。資本に対して労働は受け身のままで、対抗 (対決)できるだけの力を持つことは、残念ながらありませ んでした。ここに日本の労働者階級の悲劇があると私は自戒 をこめて考えています。

 EUではイタリアとフランス共産党のユ−ロ・コミュニズム が中心的役割を果たし、ソ連共産党が崩壊したのもユ−ロ・ コミュニズムの影響によるものでした。日本にはなかった、 しっかりした労働者階級の組織があった(ある)のです。そし て労働者階級の生活・権利をがっちりと守ってきたのです。

 定年制と言い、有期雇用契約と言い、それぞれのブロック・ 地域や国において歴史的に形成されてきた力関係、信頼関係が、 これら固有の制度や慣行を産み出してきたことを想起する必要 があります。日本ではどちらかと言えば資本の側からの論理で 年功序列、定年制と言う制度、仕組みがつくられてきました。 しかも永年にわたる運用の歴史の中これらが固まり、好むと好 まざるとに拘わらず生活の基盤を形成し、労働側もこれを受け 入れてきたという経緯にあります。

 従って、定年制を一挙に突き破ると言うことは、日本でなし崩 し的に築きあげられてきた仕組みを一方的に崩壊させ、労働者 の生活、人間として享受すべき権利を奪うことになります。 労働者の総賃金所得を保障することもないまま制度を崩壊させ ることは許されないと思います。グロ−バリズムとの関りにお いて、これを?まなければ日本は脱落するという主張は、資本 の一方的な論理だと言わざるを得ません。




 若い柳川さんたちはこのような日本の歴史をよく考えていな いと思います。学者は歴史に謙虚に学ぶべきです。連合にもし っかりしてもらわなければと思います。

 論議を巻き起こすことは必要でしょう。しかし、歴史をよく認 識して、日本の労働者、日本という国にとって最大のメリット は何かをよく考えていただきたいと切望します。









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